Journals

Interview #01 クレッタルムーセンとの出会い

Interview #01 クレッタルムーセンとの出会い

日本で再び本格的な展開が始まったクレッタルムーセン。
このジャーナルは、日本での輸入代理店であるスプートニクの目線で、クレッタルムーセンという、ある種特殊な北欧アウトドアブランドの魅力を紐解いていこうという試みです。


第一回目となる今回は、スプートニクとクレッタルムーセンがどうやって出会ったのかをお伝えできればと思います。

2021年よりクレッタルムーセンの輸入代理店となったスプートニクの代表、遠藤穂高が、手前味噌なのは重々承知で語ります。

僕がスプートニクをはじめて5年目なんですが、前職は北欧のアウトドアブランドの輸入代理店をやっている会社でした。そこに10年ほどいて、ずっとスウェーデンやノルウェーのアウトドアブランドの担当をしていました。
クレッタルムーセンを扱うことはなかったですが、当時からずっと横で見ていたブランドではありました。仕事で北欧に行くことも多くて、クレッタルムーセンの本国での立ち位置や、売り方なども知る機会があったんです。そういうのを知れば知るほど「このブランドの本当の良さが日本にはうまく伝わっていないな」と感じていました。

10年ほど前、日本に海外のアウトドアブランドがたくさん入って来た時期があって、そのタイミングでクレッタルムーセンもすごく流行ったんですね。原宿に直営店もあって、独特なスタイルだし、お金を貯めて買いたいようなそんな憧れのブランドだったんです。でも、同時にファッションとしても人気が出ていて、そっちがどんどん強くなっていった。そうなるとどうしてもアウトドアの人って離れて行っちゃうんですよね。

僕自身も「このブランドの良さはそこではないんだけどなあ」という違和感のようなものは感じていました。むしろ北欧の中でももっともヘビーデューティで、頑固なおっさんたちが妥協しないでずっと同じことをやり続けている。北欧の厳しい環境の中で、いかに活動できるかにフォーカスしまくっている、そんな尖ったブランドというイメージでした。

そうこうしているうちに、ファッション文脈ですから当然ブームというものは去ってしまう。そして事実上、日本での扱いがなくなってしまった。この2、3年は日本でまったく売っていないという状況になってしまって「昔あったよねえ」とか「良いブランドだったんだけどなあ」なんて言われていたりしていて、少し寂しい気持ちでしたね。

そんなタイミングで、クレッタルムーセンの社長から直接連絡があったんです。
「なんで俺のこと知ってるんだ?」って感じでしたし、びっくりしました。
「日本での受け皿になる気はない?」という内容だったので、さらにびっくり。
嬉しかった反面、正直迷いもありました。

良いブランドであることは間違いないし、自分自身も大好きなんですが、いまの日本のマーケットにフィットするのか、というのが一番大きかったですね。
だから、契約する前に、特別枠でセールスミーティングに参加させてもらったり、サンプルを送ってもらったりして、とにかく“今”のクレッタルムーセンに触れるようにしました。

そうして実物を手にしてみると、物としての強さはやはり健在でした。かつて憧れたクレッタルムーセンのままでした。

その段階ではまだ迷っていたんですが、最終的にやると決断したのは、スタッフの後押しが大きかったですね。
もともと業界に長く居て、クレッタルムーセンをよく知っている古株のスタッフはもちろん、クレッタルムーセンの存在を知らなかった若いスタッフからの「良い物だからやってみたい」という声もあった。

世代を超えて支持されるクレッタルムーセンは、そのフィロソフィーをきちんと伝えて行けば、長く愛されるブランドとして日本にも定着するんじゃないかと、そういう風に思ったんです。だから輸入代理店になることを決めたし、本当はインタビューはすごく苦手なんですが(笑)、少しでも多くの人にブランドの魅力を伝えたくてこのジャーナルを始めようと思ったんです。

(次回は、スプートニクが考える、日本に伝わりきっていないクレッタルムーセンの知られざる魅力についてお伝えします。)

Staff Credit
Interview:Takashi Sakurai
Photo: Hinano Kimoto