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Interview #02 クレッタルムーセンの真の魅力

Interview #02 クレッタルムーセンの真の魅力

日本で再び本格的な展開が始まったクレッタルムーセン。

このジャーナルは、日本での輸入代理店であるスプートニクの目線で、クレッタルムーセンという、ある種特殊な北欧アウトドアブランドを紐解いていこうという試みです。

第二回目となる今回は、スプートニクが感じているクレッタルムーセンの魅力について。

2021年よりクレッタルムーセンの輸入代理店となったスプートニクの代表、遠藤穂高が語ります。

他のブランドがやっていることをまったく気にしないで、自分たちのフィールドであるスウェーデンの山に適しているということだけを考えぬいて、それを追求した物作り。僕からみたクレッタルムーセンの魅力をひとことで言うと、こういう愚直さなんです。

機能素材は、ゴアテックスとかポーラテックとか、有名どころを採用するのではなくて、すべて自社で開発する。細かいパーツもすべてオリジナルにこだわり続けています。これって製造コストを考えたら絶対に高くつくんですよ。

そんなことを彼らがなぜするかというと、責任感なんですよね。

10年、15年使い続けても壊れない。たとえ壊れたとしても直して使い続けることができる、そんなプロダクトだけをリリースしていくという気構えです。アウトドアの道具の本質って結局そこですよね。

一個の商品を発表したら5~10年はずっと作り続けるというのも特徴的だと思います。もちろんつねにアップデートはするのですが、例えば「〇〇 2.0ジャケット」など、名前を踏襲していく。これってマーケティング的にはうまくないんですよ。カラーとか、パターンをちょっと変えてモデル名を一新したほうが目新しさがありますからね。

環境的な取り組みにしても、おそらくどのアウトドアブランドよりも早くから積極的に取り組んでいるんですが、それを表だってぜんぜん言わない。クレッタルムーセンからすると「当たり前のことだから」という理由なんですが、その感じも、空前の環境ブームが訪れているいま、逆にクールだなあと思ったりもします。

いろんな意味で“どこにも属さない”インディペンデントな感じなんですよね。まあ、愚直という言い方もできると思うんですが(笑)。

細かい数値とか、すぐに刷新されていってしまうようなことにこだわるのではなく、もっと長いスパンで物事を捉えている。それこそが僕らがクレッタルムーセンに感じている最大の魅力だと思います。

でも、スウェーデンで使うぶんには良いだろうけど、日本で使ったらどうなのか? という疑問も、当然ありますよね。

とにかくヘビーデューティで、どちらかというと重たいプロダクツが多いので、いまの日本で流行っているようなULやファストパッキング文化には馴染みにくい。

そのあたりを日本のフィールド向けにどう提案していけるか、というのが我々の腕の見せ所だと思っています。例えば「フィヨルム」というバックパックは、クレッタルムーセンとしては、デイハイク用としてリリースした18リットルのバックパックです。北欧の小雨の多い気候に対応するために完全防水ですし、後ろのメッシュポケットは、森歩きで見つけたキノコとかベリーとかを入れたりするために付けられたものです。


Fjörm 18L ¥22,000

でも、このサイズ感や機能性は、小さなシェルターテントを持って行くような、ミニマルなハイカーにもピッタリだと思うんです。作り手側はまったくそんなことを意識してないんですが、この「フィヨルム」以外のプロダクトも、いまの日本に合った使い方を提案していくことは可能だと思っています。

とことん尖って、北欧のフィールドに適応させたクレッタルムーセンのプロダクツたちを、どういう風に日本のフィールドにアジャストさせていくか。

僕らが今後、より一層考えていかなければいけないテーマですね。

Staff Credit

Interview: Takashi Sakurai

Photo: Hinano Kimoto