Journals

Interview #03 朽ちることのないプロダクトを

Interview #03 朽ちることのないプロダクトを

日本で再び本格的な展開が始まったクレッタルムーセン。

この記事では、日本での正規輸入代理店であるスプートニクの目線で、クレッタルムーセンという、ある種特殊な北欧アウトドアブランドを紐解いていこうという試みです。

3回目のインタビューとなる今回は、スプートニク代表の遠藤穂高がクレッタルムーセンに共感するきっかけにもなった、ブランドを代表するアイテムについてご紹介します。

ミスリル ジャケット

Mithril Jacket ¥52,800

同じモデルをアップデートしていくのもクレッタルムーセンの特徴だと思います。

そういう場合2.0や3.0という表記がくっついていますが、これは基本コンセプトは変えず、改良していることを表しています。

ただ、中には素材など細かいところ以外、ほぼ変わっていないものもあります。それがこの「ミスリルジャケット」。発売されたのは約20年前で、現行クレッタルムーセンの中でも最も歴史あるプロダクトのひとつです。

いわゆるソフトシェルの走りですね。これ以前はみんなフリースを着ていました。ただ、それだとデカくて邪魔なんですよ。それでこの1枚でアウターとミッドレイヤーを兼ねるジャケットが誕生したんです。いまではソフトシェルという概念は当たり前ですが、実はクレッタルムーセンがオリジン。

このミスリルジャケット意外にも「まだあったんだ!?」というプロダクトが多く存在するのもクレッタルムーセンの「無駄なものを作らない」という哲学を表していると思います。

ギノア 2.0 33L

クレッタルムーセンのデザインとしての特徴には斜めを多用するというものがあります。それこそ取り憑かれたようにいたるところに斜めがある(笑)。

逆にロゴは目立たないものが多いのですが、これはデザインでクレッタルムーセンだと一目でわかるようにとの意図が大きいと思います。この「ギノア」も、クレッタルムーセンを代表するロングセラーですが、斜め度合いもすごいです。当然ながらデザインだけでなく、斜めにダブルジッパーを配することで、通常よりも開口部を大きく開くことができるなど、フィールドでもしっかり機能するように作られています。メインの素材はなんと400デニール。フィールドテストで尖った岩に思いっきり擦りつけたりしてみましたが、ビクともしません。圧倒的なそのタフさも、クレッタルムーセンらしさを象徴しているアイテムです。

アンサー フーデッド ウィンド ジャケット

Ansur Hooded Wind Jacket ¥48,400

この「アンサーフーデッド ウィンド ジャケット」はプロダクトとしては最新なんですが、クレッタルムーセンのひとつの哲学を継承しているウェアです。その哲学とは「自然をまとって自然の中へ」というもの。加えて、化繊ウェア特有のシャカシャカという耳障りな音が自然の中では邪魔だと考えた。そうして2004年に発表されたのが「エインライドジャケット」というコットン製のウィンドシェルです。

この「アンサー」はその継承モデルで、オーガニックコットンを100%採用しながら、防風性と防水性を持たせ、化繊にも引けをとらないパフォーマンスを発揮します。さらにリップストップを施して強度を上げたり、大幅に軽量化されていたりと「エインライドジャケット」から、さまざまに進化していますが、その根底にあるのは化繊至上主義に対する、クレッタルムーセンのアンサーであることに変わりはありません。

Staff Credit

Interview: Takashi Sakurai

photo: Hinako Kimoto