スタッフのワードローブ
今回のJOURNALはスウェーデンに向かう機内から。 毎回海外出張に行く時は着るものに迷うのだが、今回僕は旅の相棒にアルグロンジャケットを持ってきた。この時季のスウェーデンは雨が多いので防水シェルが必需品だからだ。アルグロンジャケットは長年作り続けられている同ブランドを代表するモデル。そこには同ブランドのモノづくりへの姿勢がたっぷりと詰め込まれている。 まずこのジャケット、防水のハードシェルでありながらしなやかな着用感が心地よい。いわゆるソフトシェルのような柔らかさと言ったらよいのだろうか。長時間着ていてもストレスがないのである。実際に着てみるとバリバリゴワゴワのハードシェルのイメージをぶち壊してくれる。これは単にハイスペックを指向しているブランドとは一線を画するモノづくりの方向性である。実際この着心地の良さはストックホルムの街で呑み歩いていても調子が良い。 もちろん、だからといってその機能に抜かりはない。耐水圧20,000mmというのは十分に高性能である(事実、最近のゴアテックスは同程度にスペックが低下したようだし)。このジャケットはトレッキングからバックカントリースキーまで、さまざまなアクティビティに使用可能だ。海外出張では急に遊びの予定が入ることも多い(前回はオーレに着いたその日にいきなり裏山に滑りに連れて行かれた)。そんな急な誘いにもこのジャケットはしっかりと応えてくれる。 さすがに15年間作られている名品である。その作りは完成の域に達していると言っても過言ではない。スッキリとしていて無駄のないデザイン、長期間使用できるように考えられた各部のディテール。自分にとって理想のアウトドアギアとは、様々なシチュエーションで機能する道具であること。そして無闇に買い換えることなく長く使用できること。そんな懐の深さがこのジャケットにはあるのだ。個人的にはそんな万能さにこそアウトドアギアの真髄があると思っている。 ちなみにこのジャケット、15年前に世界で初めてフッ素を使わない防水シェルとして開発された。Allgrön(=All green)という名前には、そんな意味も込められているのだろう。かの有名なゴアテックスは、ようやく今年になってフッ素フリーになったことを考えると如何に先進的な商品なのかがわかる。 この歴史を変えた一品をぜひ皆さんにも知ってもらいたい。 菅沼